6. まとめ
今回の事業で得られたことは、大きく次の3点にまとめることができると考えています。
第一に、ハウスにおけるホスピタリティについて、初めて議論することができました。またその結果、いくつものキーワードを出すことができました。ハウスの中核的な要素であるホスピタリティをこれまでも重視してきたものの、それを言語化するのが難しいため、ホスピタリティを直接扱うディスカッションができませんでした。その意味で、今回の取り組みは、大きな一歩だったと考えています。ハウス活動の原点であるホスピタリティについて話し合い、7項目をまとめることができました。これにより、新たな活動への支援者や広く社会一般に対して、ハウスの役割について、より分かりやすく伝える一助になると考えています。
第二に、ハウスにおけるホスピタリティの言語化に向けて、今後も継続的に検討・改訂を重ねていく必要性です。今回の研修会では、ハウスのホスピタリティについて多くのディスカッションができましたが、結論には至りませんでした。研修会を通じて、やはり言葉にしづらい内容だということも再認識できました。そのため、今後も意見交換を重ね、ハウスにおけるホスピタリティの言語化に取り組み続けていくことが必要であると考えています。
第三に、ハウス利用者のニーズを把握することです。本事業において、全国のハウス運営者と共にホスピタリティについて初めて意見交換をすることができました。ただ今回は、ハウス運営者が考えるホスピタリティの一端を言語化することにとどまっています。そのため、さらに原点に立ち戻り、ハウス利用者のニーズを把握する作業が必要です。病気の子どもと家族がハウスに求めていること、ハウスを利用して役立ったと思っていることを知ることで、「ホスピタル・ホスピタリティ・ハウス」として役割を果たし続けることができると考えています。
この報告書を通じて、患者家族滞在施設(ハウス)が重視しているホスピタリティについて、患者家族に対応される医療関係の専門家の方々、さらには広く社会一般の方々と共有できれば幸いと思っております。