4. ハウスにおけるホスピタリティ
〜研修会での話し合いをもとに〜
② 相手の立場にたつ
相手の立場にたつためには、まずは相手を理解することが必要です。患者家族がおかれている状況は、一人ひとり、また家族ごとにも異なります。子どもの病状や、家族関係や家計の経済状況などは、それぞれに異なるからです。そのため、一律の対応をするのではなく、それぞれの家族が抱えているニーズを知ろう理解しようと、相手としっかり向き合う姿勢が必要です。そのことが、それぞれの家族にとっての日常性を組み立てていくことにつながります。
しかし、だからといって、興味本位で過剰に聞きこんだり、むやみに家族の中に立ち入っていくことはかえって有害です。家族が自らの日常性を再構築 して、前向きに子どもの闘病生活を支えられるように、ハウスとしてどう役に立つことができるのかを検討する。その検討のために相手のニーズを把握する、という姿勢が運営者には大切です。また、その際には、プライバシーが損なわれることがないよう、個人情報の徹底した保護も不可欠です。必ずハウス利用者とはお互いに必要な一定の距離を取る必要があります。
ハウス運営者が、自分の価値観だけで判断して相手に接しないことが大切 です。一人ひとり異なる患者家族の状況を理解するよう努力して、相手の立場 にたったハウス運営が求められます。
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私から子どもに移植をすることになり、私自身も病院を離れられない状況でした。そこで、おばあちゃんにも来てもらったのですが、地元を離れたことがほとんど無いので、慣れない土地で一人で生活できるか心配でした。そんな母のことを察してくださって、病院までの行き方も、地図にたくさんのメモを書き込んでくださって、これなら母でも分かるなと思いました。みなさん優しく対応してくださって、ありがとうございました。
研修参加者のアンケートより【キーワード:相手の立場に立つ】
相手の立場になって考える。相手のペースで関わる(押し付けるのではない介入)
マッチしていないとダメ 状況により異なる
利用者さんの置かれている状況と精神状態を思いやる
表情を読める関わり、欲しいときに手にとれる手紙やメッセージ、存在感
相手の環境や感情を受け止める能力
認めてあげること
寄り添える環境
相手の想い・状況などを、受け止めて迎え入れたい
相手の方の必要としていることを見つける
相手の気持ちや考えを十分聞く
おしつけ、おせっかいにならない親切
人によって受け方は違う
踏み込みすぎないように
相手に気持ちの負担をかけず、ゆっくりすることができるために
認められた共感
安全、安心につながる
理解を示す
ルールは必要だけれど、できる限り自然な形のまま過ごしていただく
一定のルールの上で、相手の"今"を考慮して受けとめられたら、どちらにとっても心地よい場所であり続けられるかなと思うので
おしつけになると迷惑、相手の思いを感じとる