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米国患者家族滞在施設ネットワーク研修報告書

はじめに

NAHHHについて

カンファレンス概要

参加したプログラム

理事との話し合い

おわりに

研修日程と概要(PDF)

病院・滞在施設見学(PDF)

報告書一式(PDF)

参考資料・参考URL

理事との話し合い

イラスト

9月25日の15時45分から17時30分,理事とのミーティングの時間をもつことができた。NAHHH理事6名,NAHHH事務局スタッフ1名,NPOファミリーハウススタッフ4名と通訳1名がレセプションがおこなわれたホールのソファに座りテーブルを囲んで話し合った。発足当時の話には理事の中でもNAHHHと長く関わっている方が,事務局の仕事内容ならば事務局長が,とその話題に適切な方が中心に回答,そのほかの理事が補足するかたちをとった。  理事長Keith Laken氏 が事前に打ち合わせた質問を読み上げる形で進行した。

成り立ちと構成について

【NAHHHの成り立ちについて】
1986年ミシガン州サガノという町で,地域にこれから滞在施設を作りたい,という女性たちが教会の地下室に集まった。最初に発案したのが誰かまではわかっていない。この集まりがNAHHHの組織の前身である。
当時サガノにはまだ滞在施設はなく,他地域にはすでに施設はあったがまだネットワーク組織になってはいなかった。そこで,体験談や苦労話を共有し,利用者への対応やどのようなハウスルールにしたら良いかなどについてなど情報交換し,アイディアを出し合うことを重要と考えたメンバーたちが,友人知人に声をかけ全国の滞在施設と連絡をとった。全員ボランティアであった。
翌1987年全米からハウスが一同に会し,初めての総会がおこなわれた。これがNAHHHである。集まった施設数や人数など細かいことは不明である。会員はほとんどが運営当事者であった。
【スタッフ・理事について】
会長(President)1名。現会長はPhyllis Youngberg 氏。今回のカンファレンスの地元アッシュビル在住。そのため現在のNAHHH事務所はアッシュビルにおかれている。
理事(Board Member)15名(3年任期)全米各地在住。1年に3回,理事会で顔をあわせる。その他は必要に応じ電話会議やE-mail で連絡をとりあう。現理事長はKeith Laken氏。
すべての統括は事務所でフィリス氏が行っている。理事は,医師,弁護士,公認会計士,建築家などの専門家と,ハウスのディレクターやハウスマネージャより構成されている。NAHHHの初期,理事はほとんどがハウス運営当事者であったが,現在は運営者のほか,なるべく広い範囲の専門家に声をかけ理事になってもらうようになった。全員ボランティアで活動をし,大体皆,家族や友人など1~2名ずつ手伝ってくれる人を確保している。
【ボランティアについて】
ボランティアは特別な時以外はNAHHH事務所にはいないが,たとえばニューズレターを発送するときなどは,ボランテイアが担当する。
年に1回のカンファレンスは運営を担当したハウスが中心になって,地元でボランティアを集めて行う。カンファレンスのプログラムを作るのもボランティア。今回の開催地アッシュビルはリタイアした人がたくさんいて,ボランティアにはことかかない。ボランティアの平均年齢は高い。

財政・運営基盤について

【NAHHHの財政基盤】
  • ① 会費
  • ② 総会参加費
  • ③ 寄付
  • ④ 企業や助成財団などよりの助成金(grant)
最近は国際的なビジネスをする企業が助成するケースが増えているので,たとえばサウジアラビアとか,ドイツとか,海外に目を向けて助成をしてくれる先がないかどうか調べてみると良いとのアドバイスをいただいた。
【行政・法律のサポートについて】
行政の援助はほとんど無い。行政が関係しているのは非営利であるための税法だけ。この活動は病院やホテルでもないし,認定カリキュラムがあるからといって学校でも無論ない,そのため行政から組み込まれることもないとのこと。また,専門家で固めているので規制に組み込まれることに対処することができる。

NAHHH加入・会員について

【会員ハウスの数と種類について】
アメリカに約580のハウスがあり,その内約130が「ハウス会員」になっている。現在40以上のハウスが立ち上がる予定で,仮会員になっている。ひとつのハウスを立ち上げるために地域の人と協力して資金集めから建設から長い年月が必要で,実際に立ち上がるのは,一年に2~3施設である。現在の仮会員の施設がスタートできればあと40増える計算だが,それにはかなり時間を必要とする。
会員ハウスの種類については確実なデータは無いが,おおよそ「がん」患者専門のハウスが5%・移植関係が専門のハウスが3~4%くらいである。ちなみに会員外も含めた全米580の規模で考えた場合は,全くデータがなくわからない。特に,そのなかには「ホストホームス」という篤志家が自宅の一部を提供するかたちのものも多数あるため,正確な分類を困難にしている。
【NAHHH入会基準】
基準はハウスの大きさなどではなく,非営利であることだけである。この国では税法上,非営利団体と名乗れる基準,内国歳入法501(c)(3)があるので,それをクリアーしていれば良い。もちろん会費を払わなければメンバーにはなれない。
【ハウスの質の維持】
メンバーになったハウスから招待されて,理事か訪問することはたびたびあるが,あくまで友人としてであり,「査察」のためでは決してない。NAHHHとしてハウスの設備などの基準を作って基準外の施設を排除するようなことはしていない。安全や衛生基準も作っていない。もちろん会費を払わなければ退会となる。
安全衛生との関連で「ボランティアが食事を出しているところが多いのかどうか」と尋ねたところ,全体からするととても少ないが,少数あることはあるとのことであった。
【会員以外のハウスとの関係】
会員以外のハウスとは情報交換はしていないが,ハウスを利用したいとの患者や家族の問い合わせに,会員内に紹介できるハウスが無かった場合も情報提供ができるように,非会員もふくめた全米の施設リストは作っている。また,メンバー以外の ハウスもカンファレンスに参加することは出来る。今回もひとつのハウスから参加があった。ただ,カンフェレンス参加のための奨学金申請ができるのは,会員だけである。
会員への勧誘活動は特にしていないが,会員それぞれが知り合いを誘うようにしていて,昨年は理事Gerry Beck氏とLou Tompkins氏が200位のハウスに電話をしてみた。それで実際にどれだけの会員が入会したかはわからないのだが,コミュニケーションができ,会員以外のハウスとの繋がりが出来たと思う。

ネットワークの利点と期待すること

【ネットワークの利点】
この問いは,われわれ(NAHHH理事メンバー)が何時も仕事をしながら自分たち自身に問いかけているものでもある。メンバーが最大の利点としてあげるのは,やはりアイディアや問題を出し合い,共有できることであろう。一緒に話し合えるカンファレンスはその一番の機会である。
カンファレンス以外のメンバー相互の情報交換の機会もある。月一度の電話会議や「ブックレビュー」という読書会も2週間に一回行っている。同じ本を読んで,ホスピタリティについて,マネジメントについてなど,様々なことを話し合うことができる。また,何か問題が起きたり困ったときなど,Eメールで尋ねると,会員全員に配信されるので,そのときに回答のできるハウスから直接答えをもらえるシステムもある。たとえば,「料金はどうしているか」「ペットと一緒に利用したい利用者にはどうしているか」など。そうすると,「うちのハウスではこうしていますよ」という答えがあちらこちらからもらえてとても参考になる。これは,短時間で答えをもらえる方法でもあるので,至急何かを知る必要のあったときには特に有用な方法になっている。このEメールでの質問のやり取りは理事も共有するので,そのケースは資料として残され,同じような問題がおきたときに参考に出来るようになっている。また,メンバー間ではアドレスを公開しているので,個別に交流することもできる。
その他,新しいハウスを立ち上げた経験のあるメンバーは立ち上げに際しNAHHHから得られる助けを本当に最大の利点であると言う。NAHHHでは,たとえば安全に関することや,寄付金関係など専門的な質問があったときには専門家と直接話ができるように取り計らっている。また,前述の月一回の電話会議には,専門家を呼んで質問に答えてもらうこともある。このような援助がハウスを設立するには不可欠なのである。
3番目として,教育の機会が得られるのも利点のひとつであろう。例えば今回初めて資格を授与したが,ハウス・プロフェッショナルの認定カリキュラムがあること。またいい実績をのこしているハウスのことを認め互いに学びあえるよう,年一回コンペティションをし,優秀なハウスを認めて賞をあたえている。評価は,外部の専門家に依頼している。
【最初の立ち上げと現在の変化】
メンバー,ハウスが増加した。より良い仕事をする努力をしてきた結果,ハウスの開設のサポートは,以前より強力にできるようになった。ハウスのエグゼクティブディレクターに加えて専門家が加わるようになったため,様々な面でより豊かな情報を提供できるようになった。
【今後に向けて】
第一にハウスに対して情報提供,サポートをもっとしていく。また,これから団塊世代が高年齢になっていくため,患者が増えていくであろう。そのためにはハウスがまだ十分ではないので,一般への認知度をあげる努力をしたい。
NAHHH core competency certification for hospitality home professionals
~ホスピタリティハウス プロフェッショナル資格認定について~

ホスピタリティハウスの専門性を高め,リーダーシップの基本的な規格を提供することによってホスピタリティハウスの質的向上が目的。

  • ① Psychological Skills Core(心理社会的スキル)
  • ② Business Skills Core(ビジネススキル)
  • ③ Non-profit Management Skills Core(非営利団体マネジメントスキル)
  • ④ Human Resource Core(人事管理スキル)
  • ⑤ Healer-Satisfaction Fulfillment Core(支援者の自己覚知スキル)
  • ⑥ Medical & House Emergencies Core(医療とハウスの危機管理スキル)
  • ⑦ Operations Core(実務経験)

上記の7項目について一定時間学習し,平均以上の評価を得なければならない。学ぶ手段として,外部のe‐ラーニングを活用している。また,ハウスの3年の実務経験,他の滞在施設を訪問し,「ハウス・レビュー」(レポート)を提出することが認定要件となっている。

資格は3年更新。資格取得後,3年ごとに30時間の学習が必要。カンファレンスで企画される講演やワークショップも30時間の学習時間にカウントされる。

詳細は会員閲覧用ホームページ内に掲載されている。

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