まとめ

今回の研修会では、ハウス運営団体が大切にしていること(ノウハウ)の一端を共有することができました。そして、ハウス運営者の人材養成に役立てるために、研修会で共有されたノウハウを、5つのポイントに分けて報告書にまとめました。その5つのポイントとは、「1.原点 2.共感・理解 3.チームワーク 4.支援者との連携 5.種まき」でした。

今回の事業で得られたことは、大きく次の5点にまとめることができると思います。

第一に、ハウス運営に必要な抽象度の高いノウハウを文章化できました。ハウス運営において、病気の子どもと家族にホスピタリティをもって対応していくためには、画一的なマニュアルでは限界があります。病気の子どもと家族が抱える、ハウス利用についての多様なニーズに対応していくための、比較的抽象度の高いノウハウが求められます。
しかし、抽象度の高いノウハウは、文章化が難しいことも事実です。そのため、これまでノウハウの文章化に取り組めていませんでした。今回このように研修会で共有された情報を報告書にまとめることで、ノウハウの文章化を一歩進めることができました。

第二に、経験にもとづくノウハウを共有できました。研修会で紹介されたノウハウは、各団体が試行錯誤のなかで蓄積されてきたものであり、また団体間で共通するものも多くありました。そのため、今回の研修会で共有されたノウハウは、どのハウス運営団体でも実現可能なものだといえると思います。

第三に、今回の研修会では、ハウス活動と同じように、病気の子どもを対象に活動をしているメイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパンでの取り組みをご講演いただき、ハウス運営団体の参考となることが大変多くありました。ハウス運営団体の内部研修では見えづらい、大切な視点やノウハウに気づかされました。今後も、外部の団体をお招きして研修をしていくことで、ハウス活動に広がりが出ることが期待されます。

第四に、ノウハウの文章化の必要性を再確認できました。これまでハウス運営団体は、試行錯誤を続けてきました。しかし、ハウス活動が日本で始まって20年近く経ち、各団体で培われてきたノウハウを具体的な言葉にできる時期にきていることを今回の研修会で実感できました。ハウス活動を社会に根付かせていくためにも、ハウス運営において大切なこと(ノウハウ)を文章化し、社会に発信し、共有していくことが必要だと考えます。

第五に、研修会の重要性を再認識できました。ノウハウを文章化していくことはこれからも取り組み続けていきたいと考えます。しかし、ハウス利用者のニーズに対応していくためには、文章化されたノウハウだけでは限界があります。ハウス利用者のニーズは多様であり、また変化することも考えられます。そのため、役立つハウスにしていくためには、各団体で試行錯誤を継続していくことが必要です。そして、研修会の場で各団体の経験を皆で共有して、常に考え続けていくことも大切だと考えます。

今回の事業において、ハウス運営に必要なノウハウの一端を共有でき、また文章化できたことで、ハウス運営者の人材養成に関する第一歩を踏み出せたと考えています。この報告書が、各団体でのハウス運営の質的向上の一助につながればと願っております。さらに、今後もハウスの質を高めていくために、研修会を継続的に開催し、この報告書にまとめたノウハウをさらに更新し、社会に発信していくことが必要だと考えています。

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